ミリオンラバー
柚羽が目を覚ましたのは放課後だった。

よそ見をしていて頭にバレーボールが激突した、と聞いたのは目を覚ましてからだった。

私ってボールに呪われてんのかな…

入学式でもボールがぶつかりそうになった。

その時は小暮が助けてくれたが、今回はそうも行かなかったらしい。

おでこが赤く腫れ上がっている。

自分で見ても間抜けな姿だった。

教室に行くと文化祭の準備がせっせと行われていた。

「坂梨!」

振り向くと光本がいた。

「災難だったな。でこ赤くなってるじゃん」

おでこを指差しながら、少しも心配した様子を見せず光本が言った。

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