姫はワケあり黒猫様



「……じゃぁ、英語はこれから那琉に教えてもらう」


玲は私の頭に手を置いてくしゃっとかき回した。




「玲は英語だけ10点台だもんね。いつも。悪い時は一桁。」



『え゛?』




遠矢は何でも無いような顔で言ったけど…



『10点台?!』



「あぁ」



『どーやったら取れるのよ?!』




いや、今回のは記号問題とか並び替えが多かったし、だいじょうぶだろ?!




「玲は大体英語さえよけりゃあ学年主席もとれそうなのにさー。」




佳祐は笑って玲を見る。




玲は不機嫌な顔で「あ?」と唸った。



『…うん、これから私が教えよう』




笑ってそう言うと、玲は目を見開いて私を凝視してからパッと目を逸らした。




遠矢と響、優はニヤニヤとしながら玲を見て楽しそうにしていた。




……夕季のことを紅羅が慰めていた光景は……見えなかったことにしよう。うん。








「くっそぉぉぉぉおお‼」














夕季の低い悲鳴が職員室にまで届いて、ビビり上がらせたらしいけど。





まぁ、夕季って声でかいのね。意外。









そんな呑気なことを考えていると、黒髪が目の前でしゃがみこんだ。






< 118 / 297 >

この作品をシェア

pagetop