姫はワケあり黒猫様




「……お前、昔努力したのか?」




夕季は不思議そうに私に上目遣いで聞いてきた。




その問いに、息が詰まるような感覚がした。




ゴクリ、と洸が喉を鳴らしてその音でハッと我に返る。





『ぇ……あぁ、昔…



少しは教えてもらったかな。



その後に楽しくなって、少し自分から勉強するようになった』











ーーーーだけど、今、好きか?と聞かれれば、答えはNO。








だって、









逃げのために、勉強をつかってしまったんだもの。















『佳祐は何位だったの?』




さっきは皆に言われてなかったから聞いたら、佳祐は頬を引き攣らせた。




遠矢と響は「あ、」といった表情で佳祐を遠くから伺う。



紅羅と夕季は同情するかのような目を佳祐に向けていた。




優と玲は我関せず、という態度で知らんぷりしていた。








「……256位だよ」











……ご愁傷様です。












佳祐に初めて純粋に申し訳なさを感じた。














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