姫はワケあり黒猫様





「………俺等の集まった理由を知った奴等は龍黎を、【苦人の楽園】と呼んだ。




俺達は苦人らしいぜ?」





ククッと笑った煉はそっと口を開いた。









「………俺はあいつ等に話せてよかったと思ってる。




仲間としての意識も高まったし共感もできた。






何よりも大切な仲間になった。」








……



『何が、言いたいの』





握った拳がばれない様に後ろに隠す。






煉は私を見て口を開きかけて閉じた。




「………これは俺が言うことじゃねぇかもしれねぇが、1つ、忠告だ。














気づいた時にはもうおせぇ。」















………そんなの、








『知ってる』










だって、








『………もう、既に遅いんだもん』






目に浮かんだ涙は視界を歪ませて綺麗にしてくれない。




涙と共に、汚いモノも流れてしまえばいいのに。






「………そうだな。




でも、あの事はーーーー」







『言わないで。』









誰にも言わない。








誰にも、









『………何も、言わないで』








まだ、温かいあの空間に居たいんだ。


















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