姫はワケあり黒猫様
夏休み!夏!




「おはよー那琉」



『おはよう』



車の中に居た紅羅は私に笑いかけた。





皆も口々に「おはよう」と言って挨拶を交わした。




「もう夏休みだねぇ」




遠矢はもぐもぐと朝ごはんらしいコンビニのおにぎりを食べながら、にこやかに呟いた。




『そっかぁ………』




もうそんなに時がたったのか。




刻々と迫る時間がまだもう少しあることホッとしながら胸がざわつくのを感じた。






「那琉は、何処に行きたい?山?海?」




『………何処でも…』




ハッキリ言えば、皆と居られれば何処でもいい。




「夢は大きく!


リゾートぐらい行こーよ!」




パチっとウィンクした紅羅は携帯の画面を差し出した。




「玲がねー、小島の別荘用意してくれたんだー。」





………




『…マジで』



「マジでマジでーww」




わらわら言うなわらわら。




「まぁ、行こうよ!皆で!」







紅羅はそう言ってニコッと笑った。





その笑顔に負けてしまったのは、






紛れもない私です。








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