姫はワケあり黒猫様



『……、』



でも、それなら成音が……




ぎゅっと拳を握ると、優がへろっと笑った。




「紅羅ちゃん、那琉にだって予定あるよ」




「あ、そっかー…」



紅羅はしょぼんと肩を落としてケータイをしまった。



「那琉っ、できたら行こうね!」





それでも紅羅は私に笑顔を向けてくれた。




『……うん』






…私は、上手く笑えたのだろうか。










優が私の顔をじっと見ていたことになんて、全く気づかなかった。







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