姫はワケあり黒猫様
だけど、人の流れは私と逆に流れていて逆らえない。
1人VS多勢って何だ?!新手のイジメか?!
目尻に涙が溜まってきた頃、道が少し出来た。
うわっ、神様ありがとうっ‼
………居ないだろうけどー、神様なんてww←ぉい。
人混みからあと少しで抜けられる……
そんな時、腕に圧迫を感じて、その瞬間には後ろに引かれていた。
『ふぎにゃっ‼』
引かれた拍子に足が縺れて奇声を発しながら尻餅をつきそうになった。
いたい……
…と、思っただけだった。
『あれ?』
「大丈夫?」
後ろから声がして振り返ると、いつかの王子様。
『…あっ、ぶつかった王子様!』
「うん……?」
学校の廊下の角でぶつかったあの王子様だった。
わぁ、偶然ってすごい。
「俺、名前教えたっけ?」
『……え?知りませんけど?』
戸惑ったような表情を見せる王子様に首を傾げると、王子様は「あ、」と呟いた。
「オウジって、王子のほう?」
『…他にありますか?』
質問返しすると、王子様は目を見開いてから笑いだした。
しかも思いっきり。
……いや、失礼だなっ!
少しイラっとしたのは言うまでもない。
「はー……
俺は桜地 優-Ouji Yuu-。
桜の地って書いて、オウジね。」
『……そんな苗字あるんだ。』
「あるんです」
クスクスと上品に笑いながら私の背中から手を離す桜地君。