姫はワケあり黒猫様



『ぁ、ありがとう。


では』




人ごみから抜けようとまた行こうとおもったら、桜地の周りを皆が囲んでいることに気づいた。





女子は私に妬みの視線をびしびしと伝えてくる。




……いや、知りませんよ。




肩を竦めながらチラリと桜地の顔を見た。





確かに、甘いフェイスをしている。



桜地じゃなくて王子だろ?やっぱ。



とか聞きたくなるほど整った顔は広角が上がっていて微笑んでいる。






「では、じゃなくて……



前のお詫びしたいからさ、今から付き合える?」



『……学校あるんですケド』



「そんなのサボって少しだけ付き合ってよ、ね?」




桜地は首を傾げて私の顔を覗き込んでくる。



ぅ、そんな顔で見つめられると…



思わず後退りすると、桜地はにこりと笑って私の腕をつかんだ。






「いいよね?




じゃぁ、走って!」





桜地は私にそう言ってぐっと腕を引っ張る。






だから、抜けるって‼腕‼



そう思いながらも猛スピードで軍団を抜けて行く桜地の後ろをついて行くだけで必死だった。






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