姫はワケあり黒猫様
校舎は綺麗でカラフル。
……まだカラフルが続く…
わたしは呆れを越して絶望を感じた。
…同じ日本人と思えない。
そんな事を思いながら理事長室に向かった。
この高校の造りは把握してるもん♪
だって、昨日からパンフレット貰ってたし!
スキップしそうになる足を抑えながら理事長室へと順調に歩みを進めていた。
廊下の角で誰かとぶつかって『きゃっ』とかなったり!
……
ドンっ
っまじかい!
そんな事を思いながら結構な衝撃に転けそうになった。
ドンっていっても、そんな強いの?!
てか、ベタな少女漫画か!
焦って手をつこうとすると、体がふわりと浮かび上がった。
『ぉっ?』
ビックリして瞑っていた目を開けると、誰かの大きな胸板だった。
大胆に開いてるカッターシャツからは逞しい肌が見え隠れしている。
顔を上げると、茶色の瞳と目が合った。
「ごめんね、考え事してたらぶつかっちゃった」
優しい王子様の様な言葉を並べる男の人は見た目も王子様みたいだった。
あぁ、この人普通に休日とか白馬に乗って草原歩いてそう。
ぼぅっと見惚れていると、「あの?」と声がかかって、ハッとして立ち上がった。
肩に手を回されて支えられていた状態だったので、スッと立ち上がれた。
『っやばー‼
あ、こちらこそぶつかってごめんね。
何かお詫びしたいところだけどごめんね、時間が無いの!
じゃね!王子君!』
言葉を言い捨てて走り出す。
走り出す直前ぽかんとした王子君の顔が見えた。