姫はワケあり黒猫様




「…遠矢」


「俺が勉強教えるんでしょ?どーせ、」



遠矢は肩を落としながら困った様に笑った。



「天才とか、そんなんじゃないからあんまり教えられないかも」



『いや、大丈夫』




勉強には結構自身のある方だ(ドヤァ




『皆も同じ学校だよねー』




口を尖らせながら足をジタバタさせる。




「いっつも屋上だけど、気分的に室内の時は室内だ」



『空き教室?』



「そーそー」



響はタバコを吸いながら笑った。




「んじゃ、遠矢の負担減らす為に俺は保健体育を教えようかな」




「「「シネ」」」



私はビックリしすぎて何も言えなかったけど、玲、遠矢、佳祐、ありがとう。




紅羅は興味無さそうに携帯でゲームをしている。




夕季は首を直角に曲げて寝てるし………




『寝違えないの、アレ』



「夕季は何しても寝違えないよ」




佳祐がやれやれ、と溜息を吐いた。




………大変、ソウデスネ。




『あ、そろそろ帰る』




「あ?もう?」




『うん、もう』




今日は来るって言ってた様な気がする…




メールを確認すれば、アイツからの簡潔なメール。




うむ、やっぱり来る。



『ごめんね、忙しかったら走って帰るけど』



「………佳祐」




「全く……こういう時だけ俺使ってさぁ……」




ブツブツ言いながら携帯を取り出して操作し始める。





何だか、1番大変そうなの佳祐だよね。




哀れに思えてきながら足をばたつかせて時間を待った。










コンコン、と暫くしてノック音が響いてそれに玲は立ち上がる。






「行くぞ」



『んー』



「バイバーい」




ゲラゲラと笑いながら響は手を振っていて、夕季以外は微笑みながら私を見ていた。






……本当に、あったかいね。





少し…いや、大分感動しながら玲の後をついて行った。









< 55 / 297 >

この作品をシェア

pagetop