姫はワケあり黒猫様




「あ、那琉さんさようなら!」

「また今度!」



そんな言葉をかけてくれるメンバーの子に心が温まった。




ジーンとその場で涙目になっていると、玲が呆れた様に私の腕を掴んで歩き出した。





『玲のチーム、いいね!』






玲の背中にそう言った。







でも、いつも反応してくれる玲は………





何も返してくれなかった。



車に乗り込んでからも私に一切顔を向けなかった。



マンション前で『バイバイ、』と言うと、顔を見せず「あぁ」と返事をした。





それに心の蟠りを感じながら部屋に入って行った。

























「………アレは、俺のチームじゃねぇ」



















車の中でボソッと呟かれた言葉は、運転手にも聞こえず………








玲1人の中でだけ、大きく存在を放つ言葉だった。








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