愛の協奏曲
私達が来たのはまさしく予選が行われた会場だ
この中にストラディバリウスが菅橋の名義で厳重に保管されている
そう、芽依に言ったいろいろとはこのことだ
知らぬ間にこっそり偽物と入れ替える作戦
偽物はかかりつけの個人で運営している楽器店だ
都心にありながら、滅多に人が通らない路地裏にあり、一流の音楽家達にしか分からない隠れた名店だ
そこの店主というのもなかなかのもので、ストラディを偽造して欲しいと駄目元で頼んで見たら案外すんなりと受け入れてくれた
だけどばれたら終わりだ
偽物は人目につかない通りのゴミ箱の中に置かれている
勿論そのゴミ箱というのも今回の作戦のために設置した
「さ、行こ」
「うん」