bloody mary
少女が、ティッシュ、ティッシュと呟きながらスクールバッグを漁り始めた。
ご親切に、どーも。
でも、このままそっと消えるから。
フェードアウトするから。
今度こそガチで、サヨナラ…
「キャ?!」
気配を消しつつ後退するマリーの足元に、手帳らしきモノが飛んできた。
どうやら少女が、スクバの中身をブチ撒けてしまったようだ。
道路に散らばるポーチや単行本などを慌てて拾い集めている。
だがマリーはそれを手伝うでもなく、チャンスとばかりに逃げ出すでもなく、足元を凝視して突っ立っていた。
鼻血を垂れ流したまま‥‥‥
ソレはおそらく生徒手帳。
たまたま開かれたそのページに記載してあるのは、少女のパーソナルデータ。
昔懐かしい、その名字。
昔懐かしい、その名前。
…
いやいや…
まさかね。
同姓同名だろ。
あり得ねぇ名前でもねぇし。
第一アイツは、小学生だったじゃねーか。
ん?
そか。成長してンのか。
確か7才下だったから、今は…
…
いやいやいやいや───??!!