bloody mary
「ちなみに、IDもパスも12桁です。
‥‥‥言いましょうか?キリッ」
キター…
用途用法ナニ一つ間違ってないドヤ顔、キター…
菜々はツンと顎を反らしてマリーを見下ろしていた。
その顔は『私が必要でしょう?』と主張している。
行く気デスネ。
ソーデスネ。
えー…
まじか。
まじで、まじか。
拳銃装備した殺し屋に着いてく気なンか、このコ。
コワいわ。
本気で末恐ろしいわ。
妙な方向に急成長しすぎだろ。
しかも…
そもそも、どーやってあの部屋から出てきたの?
巻き込みたくなくて閉じ込めたはずの大切な存在は、自ら巻き込まれに出てきやがった。
そりゃ、鼻血も噴き出るわ。
言いたいコトも聞きたいコトも山の如しだが、迷っている暇はない。
12桁のランダムに並んだ英数字を、二種類も覚える記憶力もない。
溜め息を一つ吐いたマリーは、睨みつけるかのような鋭い目で菜々を見据えた。
うん。
わかってる。
ティッシュを鼻に詰めてちゃ、どんな顔しても間抜けなだけダヨネー。
でも、不可抗力だから。
色々と不可抗力だらけだから。