bloody mary

病院の特別室に滞在するのは、各界の要人たちだ。
一般の患者や来院者とは別の出入口も設けられていた。

誰にも目撃されることなく特別室に出入りできるそのルートには、要人のプライバシーを守るため監視カメラは設置されておらず、いつも決まった数人がローテーションで警備を任されていた。

その中の一人を陥落し、入出管理記録に痕跡を残さず犯行を行う。

その後、その警備員を使ってあらかじめ流してあった噂を警察にリークし、もう一人陥落させておいた研修医に疑いの目を向けさせる。

完全に恋に溺れているバカな研修医が女に不利な証言をすることはないが、他の証拠も何一つナイ。

研修医は、疑われながらも一度は釈放される。

そこを、殺す。

『追いつめられた犯人による自殺』に見せかけて。

ハイ、ストーカー殺人事件のできあがり。

コレが、アンジェラの推測。


「あの警備員は自殺したわ。」


アンジェラに歩み寄って身を屈めた女は、眉を下げて困った顔を作ってみせた。


「自分が主人を殺したって、遺書を遺して。
警察も、彼が犯人だと断定したわ。」




推測は大当たりのようデスネ。
ソーデスネ。

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