bloody mary
菜々の涙の訳は、マリーのせいではなかったようだ。
いや、ある意味マリーのせいカモネ?
初体験をこなしすぎて、嬉しくて、楽しくて。
キャパシティーを超えてしまったのだろう。
アンジェラと顔を見合わせて安堵の溜め息を吐いたマリーは、ヘタリこんだままの菜々の隣に片膝を落とした。
菜々の頬を包み込むように片手を添え、指先でそっとその涙を拭ってやる。
「そか。そりゃ良かった。
俺も、面白かった。
ドルマン、謎だよな。」
「マリーさん…ヒクッ わ…私…
また連れてって欲しいデス…」
「え。」
穏やかな微笑みを浮かべたままマリーは固まった。
『連れてって欲しい』だって。
言うようになったね、菜々。
イイコトだと思うよ、うん。
でも… 俺?
俺をご指名デスカ?
それは…
勘弁して欲しいンだケド。
俺だって、ワガママに生きてもイイだろ?!
断るコトも大切だろ───?!
マリーは自分だけを映す、涙でキラキラ輝く菜々の瞳を見つめた。
「‥‥‥‥‥く…
おぅ。
また、行こう‥‥‥な。」
ハイ、ヘタレ。