月灯りに照らされて
麗華にとっての選挙
side 薫

麗華が、橘家に乗り込んでから、早、3か月が経とうとしていた。

「薫、そろそろ、向こうの手前もあるから、籍だけ入れたら
 どうだ・・・・」

薫は、観念したかのように

「・・・・はい。解りました。用紙を用意してください。」

「じゃー、今日にでも、取り寄せるから。」

親父に、そう言われ、正直、震災やいろんな事で、頭がいっぱいで
麗華の事は、考えたくなかった。

正直、疲れているのに、あのテンションで来られると、余計に疲れて
俺は、いつしか、マンションに帰るようになって行った。

毎日だと、さすがに親父達のてまえもあるので、3日に一回位は
自宅に帰ったが、最近では、1週間に1回ほどになっていた。

もっとも帰っても、時間が合わない為、二人の時間を作るどこりか、
顔を合わせる事も少なかった。

ただ、親父やお袋は、娘が出来たと、喜んでいるが・・・・。

翠は、どうしているだろう・・・。仕事、頑張っているよな・・・

翠に、男が出来たら・・・・考えたくもなかった。

そんな事を考えるだけで、気が狂いそうになる・・・・。

自分の事は、棚に上げて、翠に対する気持ちは、自分でも
コントロール出来なかった。

翌日、婚姻届にサインをし、俺と麗華は夫婦になった・・・・。
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