月灯りに照らされて
今日は、薫が地方へ出かけている為、翠は、アパートに帰った。

アパートの郵便受けに、選挙に出る人のチラシが入っており、
それを見ながら、『そっか確か、2年後に薫のお父さんの任期が
終わるんだよね・・・・。』

薫は、まだ若いから、暫くは秘書だって言ってたけど・・・
何となく、薫との未来が暗い影を落としているのを感じていた。

薫は、会えない時には、まめにメールや電話をくれる。

そのせいか、薫の声が聞こえないと寂しくて寝れなくなっている
自分がいた・・・・。そんな時、電話が鳴った。

「もしもし、翠、寝てた?」

「ううん、薫の声が聞けなくて、眠れなかった・・・・」

「そっか。よしよし、明日は、早めに帰れるから、一緒にご飯
 食べような!」

「うん、楽しみにしてる。薫、何が食べたい?」

「翠の作った、和食だな・・・今日は、フレンチだったから・・
 和食が良い!」

「了解。美味しいの作って、待ってるね!」

「頼んだよ。翠、愛してる」

「薫、私も、愛してるよ」

二人で、尽きない話をし、そろそろ日付が変わる頃、やっと電話を
切った翠は、幸せに包まれながら眠りについた。

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