エリート外科医の甘い独占愛
翌日も雨だった。
駅の改札を抜けると、私は傘を広げた。
原色の色遣いが綺麗な花柄は、沈んだ気持ちを少しだけ浮上させてくれる。
伊崎先生に借りた傘をもう片方の腕にかけ、病院までの道のりを急いだ。
歩きながら、ああでもない、こうでもないとシュミレーションをする。
今日中に返そうと決めたものの、どんなふうに声を掛けようか迷っていたからだ。
病棟についても落ち着かず、キョロキョロと伊崎先生を探してしまう自分がいた。