みだりな逢瀬-それぞれの刹那-


いつもと違い、チェックの赤いネルシャツにブラックの細身パンツ姿で足を組む彼。


あれだけ私を組み敷きながら何故これほどタフなんだ、と怒鳴りたくもなる悠然さだ。


「社長」

「……」

「今この部屋には該当される方はおひとりですけども」

「コッチは社長なんて言わないよね?」

「日本人が日本人相手に日本語で話してはいけませんか?」

「じゃあ、TPOって言葉が好きなのは誰だった?」

「四六時中セクハラ紛いの発言をなさる方の下で働いておりましたもので」

こうなれば意地の張り合いだ。引かない私も相当の負けず嫌いである。


そんな私こと間宮 朱祢も、ブルーのワンピにカーデを合わせた休日スタイル。


事の始まりは昨日のこと。彼とシアトルにある透子ちゃんの眠る墓地で再会して、ようやく告白したまでは良い。……いや、すごく幸せだったけども。


そのまま彼の所有するアパートメントに連れ込まれ、翌朝までベッドから出ることは叶わなかった。


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