学童野球物語
 守備練習をやってみて内野は完璧に近かった。
 
 鉄平とモトはどんな当たりでも飛びついて捕球し、実や伸幸も無難にこなしていた。
6年生のサードやショートだった人よりもうまいんじゃないかって思うくらい素晴らしかった。

 
ただ外野に関してはボールが飛んだら諦めるしかないくらいおそまつな守備。

 
僕が外野まで打たれなきゃいいだけの話。
 亮も「真の球はそう簡単に外野まで打たれないよ」そう言ってくれた。

 さっきも言ったけど僕達港川小野球部はずっと1回戦負けが続いているチームで監督の佐々木先生も野球に詳しいというわけではない。
 
 練習もキャッチボール、トスバッティング、ノック。
 だいたいこれくらいだ。
 
 野球に詳しくない監督だから練習もこれくらいしか思いつかないのだろうし。
 僕達もずっとこの練習が普通だと思ってやってきた。

 それがだよ。突然コーチという人物が現れたんだ。

 いつも通りにキャッチボールしてたんだけどユニフォームを着たおっちゃんが監督の佐々木先生の横に立って練習を見ていたんだ。

 痩せ型で40代くらいに見えるけど実際の歳はわからない。


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