夜桜と朧月
薫の顔を見て、ようやく安心できたのだ。




「……おかえり」

「……ただいま……」




何故か私の後ろ姿に向かって、薫がそう言った。






気を抜けば号泣してしまいそうだったから、静かに頬を濡らし下を向いて子供達に綿菓子を与える。





私から菓子を取った咲希が、それを無理矢理私の顔面に押し付けてきた。



涙も何も引っ込んでしまうぐらい酷い状態になってしまった私の顔を見て、子供達が手を叩いて笑う。




皆で笑っていられる幸せが、これからも、ずっと続けば良いと心から思った―――――。






――完――
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