おうちにかえろう
「なかなかどうして立派な家じゃない…!!趣があって…!!」
…なぜ上から目線なんだ。と突っ込みたかったが、突っ込んだら面倒なことになると思い、口を噤んだ。
そんな物騒な目でうちを見ないでくれ。
怖いから、普通に。
「美月のお風呂覗こうったってそうはいかないんだからね!!!」
「覗くか」
今回はさすがにスルー出来なかった。
いきなり何言ってんだこいつ。
誰が風呂なんて覗くか。
と、いうか、うちの前でよくもそんなことを恥ずかしげもなく…
「…まーちゃん、声大きい。ご近所迷惑になるから、しー」
人差し指を口元に当てた檜山に怒られた賀上は、「ぐっ…」と身体を震わせながら言葉の続きを飲み込んでいた。
そんなにか。
そんなになるまで文句言いたいか。
…突っ込みどころは満載だったが、檜山ナイスファイト、と心の中でまず感謝をして、玄関のカギを開けた。