奪取―[Berry's版]
 そして、絹江はふと気付く。口元に手を当てて、行儀悪くも喜多を指差しながら。

「え……もしかして、今日のお見合い相手って。喜多くんなの?」
「正解」

 更に眸を細め、口元を綻ばせる喜多を前に。絹江はただ目を丸くするばかりだった。

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