奪取―[Berry's版]
 役職を与えられながらも、滅多に会社へ顔を出さなく、お子様で俺様な言動が目に余る長男の息子と。学生時代から会社と言う組織の流れや動きをつぶさに見てきたことと、本人の才も相まって、即戦力として十分な力を発揮する次男の息子。
 変化してゆく周囲からの期待を、喜多自身十分に理解していた。だが、喜多は従兄弟を押しのけてまで権力を欲しようとは思っていなかった。
 従兄弟との関係が良好であったから。もちろん、それも理由のひとつではある。しかし、それだけではない。
 喜多はずっと、彼に対して負い目を感じていた。彼が本当の幸せを掴むまでは、自分が幸せになることは許されないと感じるほどまでに。

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