奪取―[Berry's版]
「すみません。今日のこの出来事は私のミスです。絹江さんの気分転換にと思ったんですが……余計なお世話になりました」
「どういう意味ですか」
「……お互い、惚れた女には手を焼きますね。と言う意味です。大丈夫、もう絹江さんの素肌には触りません」

 言葉と同時に、将治は左手を顔の横へ掲げる。左手に光るそれを認め、喜多は驚きのあまりに言葉を失っていた。眉間の皺を深める喜多の様から、彼が理解したことを悟り、将治は絹江へ視線を移す。

「じゃ、絹江さん。僕のさっきの言葉、忘れないで。あとは……頑張って」

 絹江の返事を待つことなく、将治は背を向けその場を離れてしまう。
 残された絹江は、自身を包み込む喜多を見上げた。忌むものでもあるかのように、将治の背中を見送っていた喜多が、絹江の視線に気付き、口を開こうとした時。
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