奪取―[Berry's版]
「痛いっ!」

 首筋を噛みつかれ、絹江は思わず声を上げた。上目遣いに、喜多が顔を覗き込んでいる。僅かに覗く真っ赤な舌が、少しだけ乾いている唇をなぞった。

「余裕だね。何、考えてたの」
「……今ならまだ引き返せるよ、喜多くん」

 鼻を鳴らし、小さな笑みを零して、喜多は再び顔を埋めた。鎖骨をなぞりながら、両手で着物の襟元を大きく開く。やや乱暴に。続けて、長襦袢も肌襦袢をも開き、見えた和装ブラジャーのチャックを咥え引き下げる。帯が邪魔をして、完全には下がらないが。押し上げられた乳房と、頂を飾る蕾が僅か顔を出す程度は自由になる。
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