奪取―[Berry's版]
きつく吸い付き、紅く跡を残して。満足げに指先でなぞりながら、喜多は口を開いた。
「違うだろう。そんなこと、考えてる顔じゃなかったよ。酷くされたくないなら、正直になったほうがいい」
今ならば、引き返せると思っていることが全くの嘘ではないが。真実でもないことは正解だった。絹江は視線を一度上へ逸らしてから、口にする。正直に、だ。
「喜多くんのたどる唇が、私の知ってるセックスと違うなって……っ痛い!」
今度は、喜多が乳房に噛み付いていた。本気で噛んでいる訳ではないだろうが、強い刺激に慣れていない、皮膚の柔らかい部分である。悲鳴を上げるには十分な痛みであった。非難の意味を込めて、絹江は喜多を睨みつける。眸には、うっすら涙が浮かんでいた。
「違うだろう。そんなこと、考えてる顔じゃなかったよ。酷くされたくないなら、正直になったほうがいい」
今ならば、引き返せると思っていることが全くの嘘ではないが。真実でもないことは正解だった。絹江は視線を一度上へ逸らしてから、口にする。正直に、だ。
「喜多くんのたどる唇が、私の知ってるセックスと違うなって……っ痛い!」
今度は、喜多が乳房に噛み付いていた。本気で噛んでいる訳ではないだろうが、強い刺激に慣れていない、皮膚の柔らかい部分である。悲鳴を上げるには十分な痛みであった。非難の意味を込めて、絹江は喜多を睨みつける。眸には、うっすら涙が浮かんでいた。