書記事情
場所が変わって生徒会室前。
普通の教室と違う扉に少し怯む。
ここにこの学校の有名人がいるのかと思うと、
入るのを拒んでしまう。
今すぐ帰ってもいいですか?
ねぇ?ダメ?私何もしてません!
私は無実です・・・。

「君・・・・」
「ひゃいっ!」

うわーお、気持ち悪い声。
いきなり後ろから声をかけられたらこうなるよね。
私が後ろを向くとくすくすと私を笑う人。
私の顔が熱くなるのがわかった。
恥ずかしい・・・・・。
彼は笑い終わると私に向き直った。

「君が神裂さん?」
「え・・・・はい」

なぜ名前を知っているんだ。
先輩なのか?

「あはっ、さぁどうぞ」

彼は私に名前を聞くと軽く笑って
生徒会室の扉を開けた。
そして私に入るように促した。

「はぁ・・・・どうも」

私は中に入った。
紅茶の香りがふんわりと香った。
生徒会室ってこんな匂いなんだ・・・。
素敵ですね。私は興味ないけど。
中には数人の人がいた。
彼は私が入ったのを確認すると扉を閉めた。
チッ・・・唯一の出口が。
その人は私にソファに座ってといった。
私はその人に従う。
少しでも早く帰りたい。
部室で撮った猫の写真でも見て癒されていたい。
そんなことを思っていると私の目の前に人が来た。
その人は向かいにあるソファに座った。

「さっきぶり」
「え?・・・・ああ!」

昼休みにぶつかった人だった。
槇村紀一、あれか?ちゃんと謝罪しろってか?
分かってるよ、何でもやるよ。
土下座でもしましょうか、HAHAHA☆

「ちょっと大丈夫?」

だいぶ目が虚ろになってきたところで
誰かに後ろから肩を少し揺らされ呼び戻された。
私は後ろのその人を見た。
少しだけ伸ばした青っぽい黒の髪を
ちょっとだけ結んだ人。
まあかっこいいんけど。
何故その口調だ、残念すぎるよ。

「アタシは向日 紫苑よ、よろしくね」

向日 紫苑(ムカヒ シオン)さん・・・。
何故オネエ口調なんだ。
残念にもほどがあるだろう。
何故よろしくなのかわからないけど。
今後は会うはずないのに。

「・・・で?私を何で呼んだんですか?」

私が1番聞きたかったこと。
謝罪なら・・・なんかそれっぽくできるけど。

「ああ・・・お前に頼みたいことがあってな」
「えと・・・ちなみに拒否することは?」
「・・・・ないな」

マジかよ・・・。
私に何を望んでいるんだよ。私は普通の人間だぜ?
倒れそうになるくらい頭の中は不安でいっぱいだった。
私は何もしていません、よって何もしません。
・・・そんなこと通用しないんだけどね。
いいよ、やってやるよ!どーせ掃除とかだろ?
得意だし!大丈夫!!

「お前、生徒会の書記やれ」

予想の斜め上を言った答えでした。
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