書記事情
放課後、私はいつも通り部室へ向かおうとした。
写真部の部室。
私はこの学校で最後の写真部員。
今年で廃部するらしい。
少し寂しいけどしょうがないよね。
実質私以外部員いないんだし。
去年は3年生の先輩もいたんだけど卒業しちゃったから。
今は私1人だし。
私は鞄を持って部室へ行こうとした。
鞄を持とうとしたその時・・・・・。

「2年3組の神裂涙、今すぐ生徒会室へ」

急に放送が入った。
男の人の聞いたことのない声。
教室にいる全員が私のことを見る。

「ちょっ!涙!なにやったのよ!」
「え・・・何も」

詠歌が私に向かって声を荒げた。
生徒会室に呼ばれることはまず日常生活でない。
なにか悪いこと、したかな・・・・・。
いや、普通に日常生活を謳歌していただけだよ!?

「涙!早く行ってきなよ!」
「・・・わかった」
「明日何があったか教えなよ?」
「分かってるって、てか詠歌、早く行かないと茜先輩怒るよ?」

九重 茜(ココノエ アカネ)先輩。
詠歌の所属している美術部の先輩。
優しいし、かっこいいけど怒るとマジ怖い。
威圧感が半端ないので誰も逆らえない。
この学校では有名な先輩だ。
コンクールで入賞するほど絵がうまいし。

「あー!やばい!じゃっ、またねっ!」

彼女は手を私に振りながら走る。
この人は1日にどれだけ走るんだろうか。
忙しないなあ・・・・・。
私はそんなことを思いながら一人で軽く笑う。
そして自分の頬をパチンと叩いた。

「よしっ!」

生徒会だろうが何だろうがどんとこいっ!
写真部持ち前の動体視力で迎え撃とう!
私は鞄を持って生徒会室へ走った。
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