吸血鬼は淫らな舞台を見る


 仲間意識からくる同情なのかは知る由もないが、瑠諏はいましかないと、すべての力を下半身へ集中させた。


 瑠諏は浮いていた両足でジョン・ドゥの脇腹を挟み、体をねじりながら倒した。


 ジョン・ドゥは床で体を回転させ、距離を取り、すぐに立ち上がった。


「若気の至りでは許されんぞ」

 重量感のある声でジョン・ドゥが凄む。


「手加減するからさ」

 瑠諏は口の端から流れる血を手で拭ってから微笑んだ。
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