あの頃…
「まあ、油断は禁物って言うし、しばらくは自分の体調には慎重に」

吠えるしるふを放っておいて向かい合うのはしるふよりさらに小さい三橋

「わかってます」

「ちょっと!!無視しないで下さいよ!!」

それこそばかみたいじゃないですか!!

しるふの言葉に彩良がまた笑う

「本当、仲いいなあ、黒崎先生と立花先生は」

見てて飽きないよ

「若干19歳にそう言われると哀しさを通り越して虚しくなってくるな」

「それ、どういう感想ですか」

じっとりと見上げてくるブラウンの瞳は、海斗からしてみればちょうどいい高さにある

一瞬見下ろしてくるだけで何も言わない海斗に瞳を細めていると

「黒崎先生、立花先生」

しっとりとした彩良の声が呼ぶ

「ありがとう」

視線を向ければ彩良の唇がしっかりと言葉を刻む

「もう戻ってくるなよ」

返すのは、あの時と同じ言葉

でも今度は確かな予感とともに

「待ってるから、彩良ちゃんのこと」

立派な看護師になって戻ってきてね
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