セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
前夫は俺を気が済むまで殴り続けた。



「た、武っ!!?止めて…」



「杏?」



杏が俺と前夫の間に割り込んだ。




「…お前の旦那…こんだけやられても…殴り返して来ない…腰抜けだ…」



「腰抜けは貴方でしょ!?働きもしないで…別れた私のお金をあてにして…孝典さんは私と杏の為に毎日…必死に働いてくれるんだから…」



「・・・チッ…」




前夫は悔しげに舌打ちして俺と杏の前から立ち去った。





「大丈夫?孝典さん」




杏は心配そうに俺の顔を覗き込み、泥だらけになったコートとスーツの汚れを払ってくれた。
< 208 / 227 >

この作品をシェア

pagetop