セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
「ありがとう」



瞼の裏が熱くなって涙の雫がふわっと湧き出す。

嬉しいキモチが涙となって溢れた。


「…泣くな…杏」



目の前にいる孝典さんの顔が涙で霞んで見える。

慰めるように肩に置かれた大きな手。



「ゴメンなさい」



「…だから、何も考えるな…杏は俺を見ていればいい」


傲慢な言葉だけど。

彼の愛が感じられる。

孝典さんはアイスコーヒーを一気に喉の奥に流し込み、腕時計を覗き見る。

先方さんが待ってるんだ…


彼の優しさに包まれ、嬉しさで感極まった胸は今も熱い。

でも、涙を見せていてはいつまでも…孝典さんが離れられない。


「…ゴメンなさい…私…大丈夫だから」


「…ゴメン…杏を慰めてやれる時間がない…」

孝典さんは伝票を手にして、立ち上がる。



「私が払うよ」


「俺が払う…」


「でも・・・」



「コーヒー代は夜に頂くよ」

孝典さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて、出入り口に急ぐ。


私は彼の姿をいつまでも見つめた…

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