あたしの証【完結】
ゆうやの返事は至極普通の反応だった。
あたしは自分で消したにも関わらず、また名前を入れるって言ってるんだ。


「あたし、もうなつきを忘れることを辞めるの。
あたしが無理矢理なつきを忘れようとしたかられんをたくさん傷付けた。
これから、また同じように忘れようとすればするほど誰かを傷付けるかもしれない。

だから、忘れないの。
なつきがあたしを一生憎むって入れてたように、あたしは一生愛するって入れるの。

自然と他の人を好きになるまではあたしはなつきをずっと。
ずっと。
好きでいるって決めたんだ。

それにこれはあたしの証なの」

「証?」

「そう、あたしが今ここにいて、生きてるって証」

「そんなもんなくたって、あかりはもう地に足つけてるだろ?」

「ううん、あたしはまだ彷徨ってる。
…無意識にね、あたし今はないこの証の場所を触ってるんだ」

「……」

「何よりあたしの精神安定剤なの」

「入れるのは俺じゃダメなのか?」

「…ありがと。
でも、これはなつきでしか入れられないんだ」


きっぱりとそう言うあたしに、ゆうやは眉を顰める。


「……わかった。
あかりが決めたなら俺はもう、言わないから」


少し寂しそうに言う、ゆうやにあたしは胸が痛んだ。
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