Bloom ─ブルーム─
教室に着くと、友里亜が心配そうに私を見た。

「里花、大丈夫?お腹」

あれ?仮病に気づいてない?

「本当、友里亜は可愛いね」

「え?なに?どうしたの?」

「なんでもない」

2時間目は現国だ。

眠くなるんだよなぁと思いながら教科書を机の中から取り出すと、携帯が鳴った。

ドキドキしながら開くと、そこには

「ぶぶぶっ。ちょっと友里亜見て」

「どうしたの?え?なに、これ?」

下手くそな女の子の似顔絵を抱き締める山本先輩と、顔にマジックで涙を描いた健さん、ドラム、そして大樹先輩の写メ。

「この下手くそな似顔絵は、もしかしたら、友里亜かも」

「えー?これが私?」

でも、笑いながら、私の胸の内はあり得ないほどに高鳴っていた。

先輩のアドレスがここにある。

さらに番号と『登録しときなされ!』なんてメッセージまで。

しばらく携帯を手放せなくなること決定。

「じゃあ、こっちはリアル友里亜でお返ししよう」

私は携帯のカメラを自分の方に向けると、友里亜を片手でギュッと抱き締めてシャッターをきった。

そして、送信。

初めての、大樹先輩へのメールは

『了解です』なんて、全く気のきかない言葉しか思いつかなかったけど。

次の返信は山本先輩まで顔に涙を描いて、号泣するふりした4人が並んでた。

「この涙、消せるのかなぁ」

真剣に心配する友里亜に、私は笑いが止まらなくなった。


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