Bloom ─ブルーム─
咄嗟に踊場に戻り、隠れる。

いや、相手は私を知らないから、隠れる必要はないんだけど。

でもなぜか隠れてしまった私は、そこからそっと顔だけ出してその影の行き先を見つめた。

ブラブラ歩きながら周りをキョロキョロ見渡してる。

誰もいないと知ってか、その人は屋上に続くはずの階段へ向かって行った。

でも、屋上は確か閉鎖されてるはず……。

こんな事していいわけないんだけど、気になる私はその後をつけてしまった。

静かに足音をたてないようにして、ゆっくり。

すると、屋上の扉にガチャガチャと鍵を差し込み、回してるその人。

鍵?何で持ってるんだろう?

不思議に思った瞬間、扉が開き、そこから入り込む涼しい風が私の髪を巻き上げた。

同時に、甘い柔軟剤みたいな香りが彼の背中から降ってきた気がした。

そう、“彼”

それは、ボーカルの、あの彼だった。
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