弁護士先生と恋する事務員
目ぼしいページに付箋を貼ると、何冊かの判例集を安城先生の机まで持って行った。
「これだけ見つけたんですけど、まだ探しますか?」
「いや、とりあえずいいよ。ありがとう。」
「もう、お手伝いすることありませんか?」
私がそう聞くと、安城先生はペラリと書類を見せながら
「これの内容証明、作ってくれる?テンプレートじゃ合わないから、一から作ってほしいんだけど」
「い、一から… 私まだやった事ないんですけど」
「それじゃ、僕のPCでやってみて。僕、判例調べながら伊藤さんの作ってるの、見てあげるから。」
定時はとっくに過ぎたっていうのに、これから書類を一から作るなんて…。しかも安城先生のPCで見張りつき!?
(うへえ… か、帰りたい…)
まあでも、これも仕事だと諦めて、私は安城先生のPCに向かってキーボードを打ち始めた。
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「それじゃあ、これで…完成でいいですかね?」
「いいよ。できたじゃない。」
「はい、ありがとうございます!」
安城先生に見守られながら(見張られながら?)初めての仕事に挑戦したのだけれど
安城先生は自分の仕事をやりつつ、私の書類をちゃんとチェックしていて細かくアドバイスをしてくれたので無事に作り終えることができた。
(普段は嫌なこともあるけど、仕事にはきちんとした人なんだな。)
少しだけ苦手意識が無くなった私は、自分の仕事が終わった所で気になっていた事を尋ねてみる事にした。
「安城先生、ちょっと聞いてもいいですか。」
「何?」
「あの女の人達―――、剣淵先生の事狙っていた女の人達と、まだお付き合いしてるんですか?」
「してるよ。」
判例集から目を離さず、安城先生はあっさりとそう答える。
「そ、そうなんですか…。そろそろ、教えてください。どうして安城先生が、そういう事をしているのか…」
「なんで?そんなに聞きたいの?」
「聞きたいです!気になって気になって、夜も眠れません!」
「絶対嘘だろ。大いびきかいて寝てるくせに。」
安城先生は急に素に戻って、ククク、と笑った。