弁護士先生と恋する事務員
「良くないですよ!」
私は先生の隣にドカッと座り込むと、話を続けた。
「これだけなんて、体がもつわけないです。成人男性の一日に必要なカロリーは2000kcal以上、先生の年齢と身長と仕事の内容を考えると、2200~2500kcalは取らないと足りません。
それなのに、一番大事なお昼ご飯がこんなサンドイッチ一つじゃ…」
私が熱弁をふるっていると、初めポカーンとした顔をして聞いていた先生が、そのうちクククと可笑しそうに笑い始めた。
「な、何がおかしいんですか、私は先生のためを思って…」
「クックック…ああ、悪ぃ、悪ぃ。お前って本当に、そういうの詳しいなあと思って。」
「だってちゃんと調べてありますから。前々から、先生の健康管理については気になっていたんです。」
そう言うと、先生は私の顔をまじまじと見つめて、ふっと笑顔を見せた。
「…なーんでそうなのかなあ、お前は。世話焼きなんだな、基本的に。」
「そ、そりゃあ先生はうちの事務所のボスですから。ボスに倒れられたら、私たち食いっぱぐれちゃうじゃないですか。」
私は照れ隠しに、わざとぞんざいな口調でそう言った。
「なんだあ、そのかわいくねえ言い方は。『先生が心配なんです!』って素直に言ってみろよ。」
先生が意地悪な顔をして、片手で私のほっぺをむにゅっと押しつぶした。
「せ、先生が心配なんですよぅ…」
つぶれた口のままそう言うと、先生が少し驚いたような顔で私を見て、ストン、と手を下した。
「ばーか… ほんとに言うな」
ため息をついて空を見上げる先生。
またぼんやりとして、気持ちがどこか遠くへ行ってしまっている。
(一緒にいても、今先生は違う事を考えているんだ)
私はなんだか悲しくなってきて、叱るような口調で先生に言った。