弁護士先生と恋する事務員
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――次の日は土曜日。
私は珍しくオシャレをして(オシャレと言っても、通勤着よりはちょっと華やか、ぐらいのものだけれど)昼過ぎに家を出た。
前から一度行ってみたいと思ってたんだ、
ジュリアさんが働くネイルサロン。
『そろそろ地味子を卒業して普通の女の子ぐらいにはイメチェンしたいのですが
事務所でしてても派手すぎないネイルってありますか?』
昨夜、お風呂から上がって思い切ってジュリアさんにメールをしてみた。
そうしたら、私のイメチェン計画に予想以上に大喜びしてくれて。
『明日三時で上がりだからちょっと前にお店に来て!その後カフェで作戦立てよ☆-ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ』
って返事をくれて。
だから生まれて初めてのネイル&オシャレにドキドキ、ワクワクなのです。
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まっ白な壁と床。
黒とピンクが差し色として使われていて、天井には小ぶりのシャンデリア。
スタッフさんはどの人もよく似た雰囲気の、派手なギャルメイク。
「シオリーん!来てくれて嬉しいよ。はい、入って入って!」
場違いな自分をひしひしと感じ、入り口で気後れしてしまった私に
いつもと変わらない明るいジュリアさんの声が出迎えてくれた。
「OLさん向けのネイルだってたくさんあるから大丈夫。ほら見て。」
ジュリアさんと向かい合わせで座り、一緒にデジタルカタログを覗き込む。
ネイルといえば、派手なものばかりだと思っていたけれど
シンプルなフレンチネイルやジェルネイルはオフィスにもお勧めなのだとか。
「わあ…どれもかわいい…」
これだったら、突然私がして行ってもおかしくないかもしれない。
ジュリアさんと相談した結果、ヌーディーなピンクベージュのジェルネイルというやつをお願いした。
スワロフスキーやビジュー、薬指には小さなリボンをつけてもらって。
「うん、控えめな感じがシオリんによく似合ってるよ!」
ジュリアさんが満足そうに頷きながらそう言ってくれた。
(かわいい… かわいい… めちゃくちゃかわいいー!)
私の中のどこに眠っていたのだろうか、
乙女心ってやつが真夏の入道雲みたいにムクムクとふくらんで
ドキドキしながら、つやつやと光る自分の爪を眺めていた。