弁護士先生と恋する事務員
その後、ジュリアさんとカフェでオシャレ相談。
「次はそのメガネだよね?コンタクトとかにしてみない?」
やっぱり、このメガネが地味でダサい原因か。
「実は、これほとんど度が入ってないくらいなんです。かけなくても支障はないかも…」
「マジで!?だったらはずしちゃいなよー!ついでにカラコン入れてつけま付けて…」
ジュリアさんはほとんど奪い取るように私からメガネをもぎ取ると
「……前から思ってたけどさ、シオリんって実はすごくきれいな顔立ちしてるよね。なんで隠してたの?」
しみじみと私の顔を眺めてそう言った。
「ええっ、そんな事ないですよ!私なんて目も鼻も口も小さくてジミー…」
「STOP!『私なんて』って言わない。だいたいシオリんは自分に自信なさすぎだよ。
今思った。シオリんはカラコンもつけまもいらない。そのキレーな顔立ちを生かした、シオリんらしいメイクが一番!」
そう言って、にこっと笑うジュリアさんの言葉を聞いていると
少しずつ自信が湧いてくるから不思議なんだ。
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「そうかそうかー、シオリんもついに女子に目覚めたか。
……ってまさか、王子を狙ってるわけじゃないよね!?」
フラペチーノの太いストローをくわえながら、ジュリアさんはぐいっと眉間にしわを寄せて私に詰めよった。
「まさか!王子様は永遠にジュリアさんのものですよ~♪」
この期に及んで安城先生となんか疑われては困る。
「……ふうん、でも、好きな人ができたのは間違いないんだよね?」
うん、と控えめに頷くと上機嫌に戻ったジュリアさんは
「うまく行ったら絶対紹介してよっ!」
そう言って私の肩をバン、と叩いた。
(安城先生じゃないなら、剣淵先生、とは思わないんだな)
やっぱり私が子供すぎるからか。
ジュリアさんの反応をちょっぴり気にしながらも…
ようし、少しでも大人っぽくなってやる。
カフェを出た私たちは、ヘアサロンへと向かったのだった。