たなごころ―[Berry's版(改)]
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 湯船の中で、笑実は自身の膝を抱きかかえる。
 入浴のために、衣類を脱いだ笑実は、改めて自身の身体に出来た傷を確認し、溜め息を零した。膝にも、右手にも。打撲と擦過傷が出来ていたからだ。顔を顰めるほどの痛みを堪え、笑実はそれら傷の汚れを落とした。
 瞼を閉じれば。先ほど見た光景が、録画した映像のように再生される。自分で望んでいないにも関わらず、だ。湯船の淵に、笑実は頭を預ける。知らずに、頬には涙が伝っていた。浮気されたのか、はたまた、自分が浮気相手だったのか。彼とはこれで終わりなのか。取り留めのない考えが渦を巻き始めた頃、ドアをノックする音がそれを中断させた。反射的に、笑実は返事をする。

「バスタオルと、洋服。箕浪のもので悪いけれど。置いておくから、使って」
「――すみません、ありがとうございます」

 大きな溜め息を零してから、笑実は湯船から身体を引き上げた。

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