たなごころ―[Berry's版(改)]
「ちょっと、知り合いに頼まれてパーティに参加していたの。で、偶然学を見つけて」
「え?パーティって?」
「学がさっき出てきたホールで行われていたパーティ。私も居たのよ」
「……ホールから後を付けてきたのか?」
余計な言葉まで口走ってしまったことに気付き、笑実は口を閉じる。何に苛立ちを感じているのか。学の眉間には皺が寄っていた。少しの沈黙が、ふたりの間に続いたのだが。それを破ったのは、部屋の中に居たもうひとりの男性だった。少しだけお腹の出た、中年の男性だ。彼は椅子に腰掛けたまま、声だけを響かせる。
「狐林くん、知り合いなのかい?」
「……ええ、大学の図書館で司書をしている人です」
「大学関係者?!大丈夫なのかい?」
「彼女は何も知りませんから、問題ありませんよ」
学の言葉で、相手の男性からは安堵のため息が零れる。促されるように、笑実はふたりの居る室内に、足を踏み入れた。よくよく、室内を見渡せば。テーブルの上に2台のノートパソコンが置かれていた。一台は笑実も見たことのあるもので。恐らく、学のものだろうことが予測できた。不思議に思いながらも、笑実はドア付近に立ったまま、その様を眺める。
「え?パーティって?」
「学がさっき出てきたホールで行われていたパーティ。私も居たのよ」
「……ホールから後を付けてきたのか?」
余計な言葉まで口走ってしまったことに気付き、笑実は口を閉じる。何に苛立ちを感じているのか。学の眉間には皺が寄っていた。少しの沈黙が、ふたりの間に続いたのだが。それを破ったのは、部屋の中に居たもうひとりの男性だった。少しだけお腹の出た、中年の男性だ。彼は椅子に腰掛けたまま、声だけを響かせる。
「狐林くん、知り合いなのかい?」
「……ええ、大学の図書館で司書をしている人です」
「大学関係者?!大丈夫なのかい?」
「彼女は何も知りませんから、問題ありませんよ」
学の言葉で、相手の男性からは安堵のため息が零れる。促されるように、笑実はふたりの居る室内に、足を踏み入れた。よくよく、室内を見渡せば。テーブルの上に2台のノートパソコンが置かれていた。一台は笑実も見たことのあるもので。恐らく、学のものだろうことが予測できた。不思議に思いながらも、笑実はドア付近に立ったまま、その様を眺める。