たなごころ―[Berry's版(改)]
箕浪は軽い足取りで2階を目指す。リズミカルな音を立て階段を上がり、器用にドアを開け、事務所を通り過ぎる。箕浪が目指すは、プライベートルームにある一室だ。今まで、笑実が一度も足を踏み入れたことのない場所。寝室。
抱き上げられながら、笑実は箕浪の胸に顔を預けていた。眸を閉じて。頼りになるのは、聴覚と触覚のみ。ドアを開ける音と共に、肌に感じる空気がひんやりと冷たいものに変わった。かちゃりと、ドアが閉まる音が耳に届いたのを機会に。笑実は眸を開く。
クリームベージュで統一された室内。真ん中にはシングルサイズではない大きなベッド。太鼓のように鳴り止まない自分の心音を全身で感じながら、笑実は顔を上げた。受け止められたのは、真剣な箕浪の眸。笑実は溜まらず、箕浪の首へ回した腕に力を込めた。笑実の頭上で、箕浪は小さな笑みを零してから。ゆっくりと足を進める。笑実を抱きかかえたままに、ベッド脇に腰を下ろした。
不安げに見上げる笑実の前髪を、指の背で流してから。箕浪は口を開いた。
「俺は……。一度も、笑実を利用しようと思ったことも、騙したこともない。それだけは信じて欲しい」
抱き上げられながら、笑実は箕浪の胸に顔を預けていた。眸を閉じて。頼りになるのは、聴覚と触覚のみ。ドアを開ける音と共に、肌に感じる空気がひんやりと冷たいものに変わった。かちゃりと、ドアが閉まる音が耳に届いたのを機会に。笑実は眸を開く。
クリームベージュで統一された室内。真ん中にはシングルサイズではない大きなベッド。太鼓のように鳴り止まない自分の心音を全身で感じながら、笑実は顔を上げた。受け止められたのは、真剣な箕浪の眸。笑実は溜まらず、箕浪の首へ回した腕に力を込めた。笑実の頭上で、箕浪は小さな笑みを零してから。ゆっくりと足を進める。笑実を抱きかかえたままに、ベッド脇に腰を下ろした。
不安げに見上げる笑実の前髪を、指の背で流してから。箕浪は口を開いた。
「俺は……。一度も、笑実を利用しようと思ったことも、騙したこともない。それだけは信じて欲しい」