狂奏曲~コンチェルト~





 諦めにも似た憂鬱に苛まれる。
 空を見上げれば、灰色の空。
 色が見えていた頃に、どんな空が見えていたのかも、今では思い出せない。

 かなめが一緒にいた男は、中学時代かなめが話していた男に似ていた気がした。

 俺は崩れ落ちるようにベンチに座った。

 頭ではわかっている。
 かなめが俺のものになることはないと。
 わかっていても、かなめのことは忘れられない。

 皮肉なものだと思う。
 再会しなければ、記憶の中だけのかなめを想い続けるだけでよかったのに。
 再会してしまったから、こうやってまた苦しんでいる。
 いや、再会する前から、俺は苦しんでいたのかもしれない。
 自分自身を責め続け、こうやって身体を壊すまで――。

「それでも……好きなんだ……」

 ため息とともに、言葉が漏れた。

 かなめを手に入れたい。
 かなめのそばにいたい。
 俺達の歪んだ過去を消し去りたい。

 俺は、目を閉じた。

「翼君」

 突然呼びかけられ、驚いて目を開く。
 そこには、俺の顔を覗き込んで微笑んでいるかなめがいた。
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