狂奏曲~コンチェルト~

 どくり……

 心臓が、痛くなるほど暴れだす。

「こんなところでお昼寝?」

 かなめは笑って、俺の隣に腰掛けた。

「彼氏はどうしたんだ?」
「授業に出たよ。私の授業はもうちょっとあとなの」

 かなめはふと、真剣な顔になった。

「翼君は、大変だね」
「ん? 何が?」
「だって、たくさんの女の子が翼君のこと見てるから」

 俺は苦笑して、

「この見た目だから。もう慣れたよ」
「……でも、彼女は翼君を見てくれないの?」

 真っ直ぐ俺を見ながら言うかなめ。
 かなめの瞳に、俺が映っている。

「さあな」

 俺は明言を避けた。

「彼女には、相手がいるからな」
「彼氏がいるの?」
「ああ」

 痛ましそうに顔を歪めるかなめ。
 かなめは優しいから、自分のことのように感じているんだろうな。

 もう、限界だ。

 俺は、かなめを抱きしめていた。
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