狂奏曲~コンチェルト~
「何、その顔」
「え、な、なんでもないです」
「それじゃあ」
冴島さんはその場を立ち去った。
その背中を、少々拍子抜けしながら見送っていると、
「かなめ……?」
「ひゃっ」
戸惑ったような声が頭上からかかって、間抜けな声を出してしまう。
もしかしなくても、翼君だ。
「こんなとこで、なにしてんの?」
奇しくも、先ほどの冴島さんと同じ言葉だった。
「物理のテスト、翼君のおかげで良い点取れたから」
私がそう伝えると、翼君は嬉しそうに笑ってくれた。
「力になれてよかった」
「お礼」
そのまま立ち去ろうとした翼君に、はっとして声をかける。