狂奏曲~コンチェルト~
「……夢かな」
「え?」
俺はシャチを通してかなめを見た。
「ずっと好きだったんだ。叶わないって思ってた。それが、今かなめが俺の隣にいる」
俺の言葉に、かなめが恥ずかしそうに俯いた。
「夢なら、覚めないでほしい」
「夢じゃないよ」
かなめが、そっと俺の手に触れた。
「夢じゃない。私は翼君の……翼の隣にいるよ」
かなめが俺を翼と呼んで、そのことに驚き、しかしすぐにくすぐったいような笑みに変わる。
どうか、このままでいてほしい。
このまま、何も変わらないまま。
かなめ、お前は何も知らなくていい。
俺がお前に施した、最低の仕打ちを――。
「翼って呼ぶの、変かな? でも、そう呼びたいな」
照れたように笑うかなめが、愛おしい。
その目を見返すと、かなめの笑顔がふと陰る。