狂奏曲~コンチェルト~





 ご飯を食べた後、二人で海の見える公園に来た。

 翼君の好きな人が私だったということは、驚くべき真実だった。
 翼君は、一緒にいられるだけで心が温かくなる人。
 いつまでも、一緒にいたいと願ってしまいたくなる人。

「あ、そうだ。ストラップ」

 翼君に買ってもらったおそろいのストラップが嬉しくて、早速取り出した。
 じっと私を見ている翼君の視線が恥ずかしくて、

「ストラップ付けるのって、ちょっと根気要るよね」

 無駄に口数が増えてしまう。
 ストラップをつけるのに手間取ってるうちに、翼君がストラップを自分の携帯につけていた。
 シンプルなデザインの青い携帯に、シャチのビーズでできたストラップは妙に浮いてしまう。

「男の人の携帯には、可愛すぎたかな?」

 苦笑して言った私に、翼君は笑いかけてくれて、

「そんなの、気にしない」

 そう言って、私の携帯を手にした。
 何をするんだろうと思って見てみれば、翼君は二匹のシャチを合わせてハートを作っていた。
 それが妙に可愛くて、私はにやけてしまう。

「……夢かな」
「え?」

 翼君が、シャチのハートから私を見つめている。
 そして、真剣な顔をしてそっと携帯をおろした。

「ずっと好きだったんだ。叶わないって思ってた。それが、今かなめが俺の隣にいる」

 ゆっくりと吐き出される言葉が、私を捕らえた。
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