狂奏曲~コンチェルト~
「かなめ」
「あ、新」
教室に入ろうとしたところに声をかけられた。
新とは恋人同士ではなくなったけど、今でも顔を合わせれば会話をする仲だ。
新がなにやらにやにやと私を見ているから、私は首をかしげた。
「見たぞ。二階堂さんと上手くやってるらしいな」
「えっ」
新は天を仰いで、
「あーっ、悔しい。俺といるとき、かなめ、あんな顔してなかった!」
「あんな顔って、どんな顔?」
驚いて聞いた私に、新はにやっと笑って、
「満たされてるみたいな顔」
「え」
新はぎゅっと私の頬をつねった。
「いたっ」
「俺のこと振ったんだから、幸せになるんだぞ。二階堂さんに泣かされたらいつでも言いにこい」
そうやって悪戯っぽく笑う新に、私も笑顔で肯いた。
新と別れて教室に入ると、香織が意味ありげに私を見上げてきた。
「何?」
「いやあ、別れたっていうの本当なのかなって」
私は苦笑して、香織の隣に座った。